2020年12月18日(金)に公開された実写映画『約束のネバーランド』
原作人気もさることながら、映画化の際には若い世代に人気のある”浜辺美波”、人気お笑い芸人”渡辺直美”、そして実力派女優の北川景子を起用し、話題となっていた映画であった。
そんな実写映画『約束のネバーランド』であるが、興行収入が”18億円”だったことはご存じであろうか。
”18億”という数字だけを聞くと、ものすごい金額ではあるが、果たしてこの数字は映画としては成功なのか失敗なのか、わかりにくいことだろう。
そこで今回は、”ジャンプ原作漫画の実写映画化”に関するあれこれのお話。
映画の興行収入はいくらなら成功なの?
そもそも映画の興行収入って、いくらなら成功なんだろう・・・。
18億円って聞くと、数字的にはすごいように思えるわよね。
普段の生活の中で、よくテレビやCM、雑誌などで「興行収入〇億円!」といった煽りを目にすることが多いことだろう。
しかし、「興行収入が何億」と言われてもなかなかピンとこないはず・・・。
では、どのくらいの興行収入があれば、その映画は「成功」と言われるのだろうか?
映画ブログではないので、利益などの細かい話は省略させて頂くが、一般的には『10億円』が成功の最低ラインだといわれている。
そのまま、15億円・・・20億円と増えていき『30億円』もあれば、大ヒット。
『80億円』までいけば”その年を代表する映画”と言われるようである。
さらに、『100億円』を超えれるような映画になると、”映画史に残る”のだとか。
そう考えると、実写映画『約束のネバーランド』の結果がどうだったのかはお分かりのことであろう・・・。
『約束のネーバーランド』は、とりあえず成功ってことだね・・・。
まあ、公開前からそのくらいだって予想はされてたからね!
内容がツマラナイ・・その理由は?
ところで、漫画の実写映画ってどんなイメージ?
え、う、う~ん・・・。
ジャンプ原作漫画に限らず、漫画の実写映画というと、みなさんはどのようなイメージがあるだろうか?
中には、「漫画の実写化は、つまらないものが多い」と思う人も多くいるはずだ。
もちろん、面白いものもあるがつまらないものが多いのも事実・・・では、なぜ漫画の実写化はつまらなくなってしまうのだろう?
監督・脚本家が原作を読み込んでいない
一番の原因となるのが、"監督や脚本家が原作を読み込んでいないこと"だと言われている。
ファンは「原作のこういうところが面白いんだ、ここが好きなんだ」と知っていても、監督や脚本家がそれをまったく理解していないため、”実写映画”というものは、原作のエッセンスを『度外視』したものが作られることが多くなっている。
これには必ずしも「原作のファンだ!」といった監督や脚本家が映画製作に携わるわけではないので、原作に対するファンと監督の”熱量”が圧倒的に違ってしまっているからだ。
この”熱量”の差異があればあるほど、原作ファンが映画を観て「つまらない」と感じてしまうのだ。
2018年公開された『ニセコイ』がまさしくそれで、監督は出演者のコスプレ感を強調させることで、現実世界に漫画のキャラクターが降り立ったような面白さをコントのように表現したかったのだろう。
しかし、それが間違いなく原作ファンから不評を買ってしまっていた。
なぜなら、原作ファンはそこに『ニセコイ』の面白さを求めていなかったからだ。
その結果、最終興行収入は”5億円”という大爆死となってしまったのである。
ファンが多すぎるがゆえに・・・
では、逆に「原作ファンである監督が作れば、面白い映画になるのか?」と言えば、そういうわけでもない。
監督が原作の面白い部分を解釈していて、映画では上手い具合に表現できていたとしても、ファンが多い漫画ならば多いほど、その解釈の仕方は多くあるというもの。
そこで制作陣と解釈の違うファンの大多数が「なんかこういうのじゃないんだよなあ・・・」とでも言おうものならば、すぐさま『つまらない』と言われてしまうのである。
実は、この原作ファンとの”擦り合わせ作業”がとても難しいのだと思う。
その作業を上手くできたのが『デスノート』や『銀魂』なのだろう。
そんな大変で批判も受けるなら、実写映画化しなければいいんじゃ・・。
ところが残念、実は、そんなことはどうでもいいのよ・・。
ファンの声?内容?そんなことは関係なし!
『約束のネバーランド』の実写映画発表のときもそうだったが、『大人気漫画〇〇が待望の実写映画化!』といったニュースが流れる度に、原作ファンからは毎回ブーイングの嵐が起こる。
それは、上で説明した通り、漫画の実写映画は『つまらない』ものが多いからだ。
しかし、そんな不評の中でも、なぜ『ジャンプ漫画の実写化』は続くのだろうか?
その答えは、『GANTZ』で有名な漫画家の奥浩哉先生が以前に出したコメントにすべてが集約されていた。
なぜ無理っぽい漫画の実写化が続々と作られるのか?それは、知名度がある原作とイケメンの組み合わせだけで内容はテキトーでも観に行く人達がいっぱいいるからですよ。コアなファンなんて最初から相手にされてません。儲からなかったら誰も作りません。
まさにこれだろう。
原作の熱狂的なファンだとか映画館に年に何十回も足を運ぶような、コアなファンはもともと相手にしておらず、年に1、2回足を運ぶようなライト層を対象に実写化映画は制作されているのである。
現に”そういった映画”を観た人のSNSの発言をみても、
男性
〇〇ちゃん可愛い!!
女性
〇〇君カッコいい!!
といったことにしか触れられておらず、内容は二の次。
「話題の映画を観た」「大好きな〇〇が出ている映画を観た」というだけで、満足してもらえるのである。
なので、原作ファンが 「映画化反対!」との声をいくらあげても、実写映画化が止まらないのは、もともと相手にされていないのだから、声をあげたところでどうにもならない・・・ということだ。
では、そんなに儲かるのだろうか?
近年、公開された『ジャンプ原作漫画の実写映画』の最終興行収入は以下のようになっている。
実写映画最終興行収入
- 2015年・・・暗殺教室 27億円
- 2015年・・・バクマン 17億円
- 2016年・・・珍遊記 不明(数億程度との噂)
- 2016年・・・暗殺教室 卒業編 35億円
- 2016年・・・HK 変態仮面 不明(数億程度との噂)
- 2016年・・・デスノート Light up the NEW world 22億円
- 2017年・・・銀魂 37億円
- 2017年・・・ジョジョの奇妙な冒険 8億円
- 2017年・・・斉木楠雄のΨ難 10億円
- 2018年・・・BLEACH 5億円
- 2018年・・・銀魂2 35億円
- 2018年・・・ニセコイ 5億円
- 2020年・・・約束のネバーランド 18億円
原作ファンが多い『ジョジョの奇妙な冒険』『BLEACH』の大失敗は、企画の段階では予想外だったように思われる。
特に『BLEACH』は邦画では考えられないような製作費がつぎ込まれていたようで、とんでもない大赤字だったとか。
しかし、『銀魂』を始め、『暗殺教室』や『バクマン』『斉木楠雄のΨ難』の奮闘ぶりを見ると、必ずしも『実写映画化=失敗』というわけではないようだ。
また、過去には、『デスノートシリーズ』『るろうに剣心』『ルーキーズ』といったヒット作も数多く存在しているため、ジャンプ原作漫画の実写映画化は『強い』コンテンツ・・・つまりは”儲かる”のだ。
ビジネスである以上、儲かる確率が高いのならば、「作ったほうが良し!」と誰しもが考えること。
それに知名度が他のものより遥かに高い『ジャンプ原作の漫画』とならば、話題になりやすいので、当然、”実写映画”が企画として挙がってきてしまうのは、仕方がないことなのだ。
なるほど、もう映画はビジネスとしてしか見られてないんだね・・・。
残念だけど、”原作ファンのため”の映画化ではないわね。
最後に・・・
以上、ジャンプ漫画の実写化に関するアレコレであった。
これからもジャンプ漫画に限らず、漫画が原作の映画は次々と制作されていくことだろう。
確かに声を上げるのは大事なことだが、ツイッターなどのSNSでいかに批判しようがどうしようもない。
残念なことに原作ファンができることは、もはや『優しい目で見守る』ことなのだ。
ただ、『銀魂』『デスノート』の例もあるので、一概に実写化が決まったからといって、ガッカリせず、期待を込めて映画の公開を待ち、自分の目で「つまらないかどうか」を判断することをオススメしたい。