ジャンプの疑問

『スラムダンク』の電子書籍版がない!?その理由とは・・!?

あれ・・・・?おかしいなあ~・・・う~ん・・・。

ジャン男
ジャン子

ん、さっきから一体どうしたのよ?

いや、『スラムダンク』を読もうと思っていたのに、電子書籍版が見つからないんだよ~。

ジャン男
ジャン子

それは当り前よ!『スラムダンク』は電子書籍化されてないもの!

え・・・ええええええええ!!!!

ジャン男



2021年1月に新作映画の製作が突如発表され、再度、注目を集めている『スラムダンク』

この新作映画の発表を知り、「もう一度読み返そう」と思っている人や、「初めて読んでみよう」と思っている方も多いはず。

しかし、手軽な電子書籍で読もうと『スラムダンク』の電子書籍版をいくら探しても見つからない・・・。

そういった経験をお持ちの方も多いことだろう。


それもそのはず、なぜならば『スラムダンク』は、電子書籍化されていないのだ(2022年10月時点)。

累計1億部を突破するほどの大ヒット漫画がなぜ電子書籍化されないのか・・・。

今日は、そんな『スラムダンク』の電子書籍化に関するお話。



そもそも『スラムダンク』とは?


週刊少年ジャンプにて、1990年42号から1996年27号まで連載していた青春バスケットボール漫画。

女にモテずフラれてばかりいた桜木花道が、バスケットボールに出会い様々なライバルと競い合っていくうちに、いつしかバスケットボールの楽しさに目覚めていく・・・というストーリー。

単行本は全31巻。

その他に、完全版、新装版も発売されている。

個性的なキャラクターや躍動感のある描写で大人気となり、当時、日本ではまだまだマイナーであったバスケットボールを一躍、人気スポーツにまで押し上げた。

1993年にはテレビアニメ化。


出典:「SLAM DUNK」コミックス31巻より



 なぜ『スラムダンク』は電子書籍化されないのか


めっちゃくちゃ人気あるんだから、絶対電子書籍化したほうがいいでしょ!?

ジャン男
ジャン子

う~ん、そこには大御所ならではのこだわりがあるみたいなのよ。


「人気があるんだから、電子書籍にしないなんて意味がわからない!」という意見をお持ちの方もいるだろう。

確かに、電子書籍は手軽に購入できるうえに、紙の単行本とは違ってスペースを取ることがなく、コレクターでもなければ、今となっては単行本よりも電子書籍を選ぶ人が増えてきている。


しかし、それは”読み手”のこちら側の都合だけであって、”描き手”側のほうからみると決して、この電子書籍化への移行は喜ばしいだけではないようだ。

もしかすると、作者である井上雄彦先生も以下のような考え方を持っている・・・のかも?



漫画の表現方法


ジャン子

ほら、昔の漫画と比べて、今の漫画って何か変わったなあって思うことない?

変わったこと・・・うーん・・・強いて言えば裸のシーンが・・

ジャン男
ジャン子

・・・・・・・・・・



昔の漫画と今の漫画の違うところ・・・それは、”見開き”の使い方。

電子書籍が普及する前は、「必殺技」や「重要なシーン」などは、左右の2ページに渡り描く、いわゆる”見開き”という表現で描写されることが多かった。

これは、左右2ページを使うことで迫力が出るし、インパクトのある見開きは読者に強い印象を残すことができるため、要所要所で使われてきた演出手法だ。


出典:「SLAM DUNK」コミックス31巻より


しかし、現在の漫画(ここでいうジャンプ)を見ると、”見開き”を使用する漫画が少なくなっている。

これは、昔と違い、後の『電子書籍になることを想定している』からなのだ。


電子書籍を使っている方ならばわかるだろうが、スマホや小さめのタブレットで漫画を見る場合、画面の都合上、表示されるのは1ページだけ。

つまり、スマホやタブレットで見た場合、”見開き”を上手く表現することができないのだ。

これでは、せっかくの重要なシーンや迫力が伝わらない・・・。

伝わらないのならば、”見開き”は使わないほうが良い・・・。

そのため、今はなるべく”見開き”がないような描かれ方がされているのである。


これにより、電子書籍の普及が、”漫画の表現方法を制限してしまっている”ともいわれてしまっているのだ。

今回の話の主である『スラムダンク』も、連載当時、電子書籍化を想定して作っているわけもないため、”見開き”でとても印象的なシーンが多い漫画である。

作者である井上雄彦先生もまた、「電子書籍化しても、スラムダンクの良さは伝わらない」「電子書籍が普及してしまうことで、また漫画の表現が制限されるのでは」という考えがあるのではないだろうか。



無料開放を嫌う


電子書籍のサイトを見ると『〇巻まで無料!』『〇月〇日まで無料!』といった宣伝文を毎日、目にする。

もちろん、無料といっても、著者にはお金は支払われているし、著者としては「多くの人に見てもらえるチャンス」であり、読む側にも自分の作品を広めたい漫画家の方々にも喜ばしいサービスだ。

しかし、大御所の人達の中にはこの「無料」サービスに疑問を感じているようだ。

以前、『20世紀少年』『YAWARA!』の浦沢直樹先生がインタビューでこのような発言をしている。


今は無料で読める漫画っていうのがあるじゃないですか。僕の今まで生きてきた感じからして、「タダで見る」ってことがどうしても、しっくりこないんですよね。

漫画というのは、高いものだったんですよ。

僕らが小学生の頃は単行本が220円から250円くらい。

とてもじゃないけど、買えない代物だったんですよね。

本屋も立ち読みさせたくないから、子供の手が届かない高い棚に並べてた。

それを眺めながら「いいなあ、お金が貯まったら、あの単行本がほしいなあ」って憧れていたんです。そういう世代なので、「タダで見る」って、それ漫画の見方じゃないよな、って。

漫画は憧れの対象で、背伸びして一所懸命、手に入れるものだったのに――映画にせよ、音楽にせよ、事情は同じだったはずなんですよね。

それがタダになると、憧れもへったくれもなくなっちゃう。

https://www.huffingtonpost.jp/2014/12/29/naoki-urasawa_n_6390106.html

『HUFFPOST』より抜粋


つまり、こういった”漫画への憧れ”を強くもった世代の漫画家たちは、無料という言葉に拒否反応を持っているようだ。

浦沢直樹先生と井上雄彦先生は年齢は違えど、漫画に憧れを強く持った世代であることは間違いではないため、もしかすると、同じ考えをもっているのかもしれない。


今の若い漫画家と漫画に対する考え方が違いそうだね・・・。

ジャン男
ジャン子

浦沢先生の考えもわからなくはないけどね・・・。



スラムダンク奨学金


皆様は、作者である井上雄彦先生創設した『スラムダンク奨学金』という奨学金制度があるのはご存じだろうか。


Slam Dunk Scholarship|スラムダンク奨学金


これは、”高校卒業後も競技を続けることを希望する高校生を対象とし、奨学生はアメリカの大学へ進学することを目的としたスクールに派遣される”という制度である。

この奨学金は、『スラムダンク』の印税の一部と集英社が原資となっているそうだ。


『スラムダンク』の印税の一部が使われているということは、今後もこの奨学制度を運営していくには、『スラムダンク』の漫画が売れ続ける必要があるということ。

通常、単行本の印税は10%といわれており、これは実売り数ではなく、出版数に10%をかけたものが作者の収入となる。

つまり、実売りが100冊でも出版数が10000冊ならば、10000×10%の印税を作者は得られるというわけだ。

しかしながら、電子書籍ではこの印税計算が変わってくる。


集英社の電子書籍化の印税がどの程度かは不明だが(15~25%辺りか?)、同じ10%だとしても、電子書籍の場合は、実は、”実売り”にこの10%をかけたものが作者の収入となってしまうのだ。

そのため、『スラムダンク』ほど知名度があり、初版から数多く単行本を刷れる場合は、電子書籍として売っていくよりも、定期的に完全版や新装版で出版数をあげたほうが、作者の収入としては大きく、その分、奨学金に充てることができる・・・との考えもあるのでは・・・。

そうだとすると、新装版が2018年頃から突如、発売されたのにも納得できるのだが・・・。


さすがに捻くれた考え方じゃない!?

ジャン男
ジャン子

まあ、あくまで個人的な考えだから!!



最後に・・・

以上、『スラムダンクが電子書籍化されない理由』であった。

現実的な理由としては、「小さいスマホなどで読んで欲しくない」「スラムダンクの迫力が電子書籍では伝わらない」といったことだろう。

そして、電子書籍化されないケースは大御所の漫画家に多い印象。


今の若い漫画家世代と違い、”漫画”というものに対する向き合い方やプライドが違い、電子書籍というものに拒否反応があるようだ。

しかしながら、今後『スラムダンク』が電子書籍化される可能性はゼロというわけではない。

その可能性があるタイミングとしては、2021年1月に突如発表された『スラムダンク』の新作アニメ映画の公開付近だろう。

いつ頃の公開になるのかは、現時点では不明であるが、集英社としても、このビックタイトルでこけるわけにもいかないだろうし、公開付近になれば、大々的に宣伝活動がされるはずだ。

近い未来で『スラムダンク』の電子書籍化のタイミングがあるとするのならば、間違いなくそこなのだが・・・果たして。






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